大判例

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東京高等裁判所 昭和50年(行ケ)117号 判決

一 請求原因一ないし三の各事実、すなわち本願発明についてされた特許出願から本件審決の成立に至る特許庁における手続の経緯、本願発明の要旨及び本件審決の理由は、当事者間に争いがない。

二 そして、請求原因四において原告が本件審決の取消事由として主張する事実は、被告もこれを認めるところであり、右当事者間に争いのない事実によれば、本件審決は本願発明におけるカム面とスリーブの構成及びカム面の作用を誤認しており、その誤りは本願発明と引用例記載のものとの相違点<2>に対する判断、ひいては本件審決の結論に影響を及ぼすものであるから、本件審決はこれを違法として取消すべきものである。

三 よつて、本件審決の違法を理由にその取消を求める原告の本訴請求を正当として認容する。

〔編註その一〕 本願発明の要旨は左のとおりである。

パイプの端部分が挿入されうる開口を形成された管状部分を有するとともに前記パイプの端部分が当接する一つの面を具えた本体部材と、前記管状部分の軸線方向に可動にして該管状部分内に受承されたパイプの端部分に半径方向の力を加えるようになつているスリーブとを含有し、前記本体部材と前記スリーブとは該スリーブを軸線方向に運動させて前記管状部分と係合させるように操作されるそれぞれ工具のジヨーと係合する部分を有する一体的パイプ継手において、前記パイプ(6)の端部分と前記管状部分(1a、1b、12a、12b)との対面壁は滑らかにして、前記スリーブ(2、14)は前記管状部分に設けられたカム面(8、19)を越えて動かされ、もつて前記パイプ(6)の端部分の直径を減少させる半径方向の力によつて前記パイプ(6)の端部分と前記管状部分(1a、1b、12a、12b)とが密封係合するように押付けられることを特徴とするパイプ継手

〔編註その二〕 本件における請求原因は左のとおりである。

本件審決は、本願発明と引用例記載のものとの相違点<2>に対する判断において、本願発明におけるスリーブがカム面を越えるか、またはカム面に当接するものであり、カム面はスリーブを管状部分上に位置ぎめ、固着するか、またはパイプを位置ぎめ、固着するものであるとしたうえ、引用例記載のものと対比しているが、本願発明の要旨から明らかなとおり、本願発明におけるスリーブは「カム面を越えて動かされ」るものであつて、最終的にはカム面に当接する状態にはなく、したがつて、カム面はスリーブを管状部分上に位置ぎめするものではあつても、パイプを位置ぎめ、固着する作用を有していない。もつとも、本願発明の明細書添付図面の第6図ないし第8図(別紙図面〔編註省略〕(一)参照)には、スリーブがカム面(19)を越えるものではなく、カム面(19)に当接しているものが表示されていることは認めるが、これは、本願発明の要旨における「カム面を越えて動かされ(る)」という要件に該当せず、要旨外のものである。

右のとおり、本件審決は、本願発明におけるカム面とスリーブの構成及びカム面の作用を誤認した結果、相違点<2>に対する判断を誤つたものであるから、取消を免れない。

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